はにかむブログ

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歯科レントゲン撮影の被爆って大丈夫?

今日は、レントゲン撮影のお話です。

内科で胸部レントゲンを撮影されたり、骨折を疑って足や腕を撮影したりと記憶にあるかと思います。

もちろん歯科でも、レントゲン撮影を行い虫歯を見つけたり、歯周病の進行を把握したり、歯が割れてないかを毎日チェックしたりしています。

 

どうしても、放射線(エックス線)を使う必要があるため、患者さんの中には被ばくを心配して、撮影拒否される方も中にはいます。

被ばくをゼロにして、撮影することはできませんが、最小限に抑える努力を医療者は心がけています。

 

今日は、そんな医療用放射線と、被ばくについてのお話です。

 

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  1. 放射線とは
  2. 一人当たりの自然被ばく量
  3. 歯科用機材による放射線量
  4. その他の被ばく量
  5. 最後に

放射線とは

「放射線」は電磁波の1つです。

 

携帯電話から毎日出ている「電波」

電子レンジで用いる「マイクロ波」

身体をポカポカ温める「赤外線」

目に見える光「可視光線」

日焼けの原因「紫外線」

そして今回テーマの「電離放射線」です。

 

これら全て総称して「電磁波」と呼びます。

すべて、粒子であり波であるという二重性をもちます。

波長が長いものから短いものへと並べたものが先ほどの電磁波の順番になります。

波長が短いほど、エネルギーも大きく、人体へのダメージも大きかったりします。

よって最も波長の小さい放射線は特に人体へのダメージが大きいと言えます。

 

 

放射線を出すものを「放射性物質」と言います。

また放射線を出す能力を「放射能」と言います。

 

身近な「電球」に例えると、

放射性物質が電球、

放射線が電球の光、

放射能が電球の明るさ(ワット数)となります。

 

放射線による人体への影響を表す単位を「Sv」(シーベルト)といいます。

人体が放射線にさらされることを「被ばく」といいます。

また、人体が浴びた放射線の線量を「被ばく線量」といいます。

シーベルトは、「ある期間に被ばくした量の合計」を表す線量の単位です。

正当化と最適化

 

では、なぜそんな有害な放射線を医療で使用することが許されるのでしょうか?

それは、他に代替手段がないからです。

そして、本来であれば身体を切り開かないと見えないような情報を、大きな侵襲なしに確認できるからです。

 

放射線学の専門用語では、医療被ばくの「正当化」「最適化」と表現されます。

 

「正当化」・・・放射線診療を行うことで得られる患者個人の改善あるいは、社会全体の利益と、被ばくによる損失とを比較し、損失(デメリット)より利益(メリット)が大きいことを確認することです。

また、放射線被ばくを伴わない他の代替の医療行為によって得られる利益ならびに、その医療行為に伴うリスクと、放射線診療のそれらとを比較し、代替手技の採用の可能性についても検討します。

 

「最適化」・・・放射線診療を行うときに、患者の被ばく線量を、放射線診療の価値を損なわない範囲内で最小限にすることです。

つまり最適化とは「線量の最小化」ではありません。線量を下げすぎて、診断できない画質になったら、それは無駄な被ばくになります。求めるのは、診断に必要十分な画質であり、最高の画質ではありません。

 

そして日本では、医療被ばくの正当化・最適化の判断の責任は、医療行為を決定する医師・歯科医師にあり、様々な放射線診療についてガイドラインを定めています。

 

これを初めて大学で習ったときは、そんなことも定義されているんだな~と感心したのをなぜかよく覚えています。

一人当たりの自然被ばく量

実は、普段生活しているだけでも僕らは毎日放射線を浴び続けているのを知っていますか?

これを自然被ばくといい、年間2.4mSvが平均といわれています。

そんなにどこから、被ばくしているのかというと、

宇宙から0.4mSv

空気中から0.5mSv

大地から1.2mSv

食べ物から0.3mSv

など、実は普通に暮らしているだけでも、放射線を浴びています。

ただし、これは1年間の合計被ばく量です。

 

では、歯科診療所での被ばく量はどれくらいでしょうか?

歯科用機材による放射線量

デンタル撮影

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こんな歯が数本分写ったレントゲン撮影を「デンタル」と歯科では呼びます。

1回の撮影で、0.01mSvです。

 

パノラマ撮影

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初診時に撮影することが多い、すべての歯を映し出してくれる撮影。

歯科では「パノラマ」と呼びます。

1回の撮影で、0.03mSvです。

 

CT撮影

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さらに、歯の断面を様々な方向から確認できる断層撮影。いわゆるCT撮影です。

これは、0.1mSvとなります。

 

すべて1回の撮影での被ばく量ですので被ばくが少ないか多いかの感じ方は個人差があるでしょうが、それ以上に得られる情報が大きく、確実で、今後の治療方針につながっていくため、長年用いられています。

その他の被ばく量

胸部レントゲン集団検診では、0.05mSv

胃のレントゲン撮影は、0.6mSv

PET検査は、2.2mSv

と言われています。

 

また、東京からニューヨークへ飛行機で往復するだけで実は、0.19mSvの放射線被ばくがあると言われています。これは、高高度に長時間滞在するため、宇宙線を浴びやすいためです。

 

そう考えると、歯科治療での被ばく量が極端に高いわけではないという気もしませんか?心配であれば、必ず先生と相談しましょうね。

最後に

万が一、身体に何らかの臨床症状が現れるのは、200mSvを超える被ばくがあったとき、と言われています。そんなこと通常の歯科クリニックでは、まず考えられません。

過度な心配をせず、冷静に判断しましょう。歯科医師もわざわざ無駄な撮影は普通しませんので。

 

 

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